イオンクレジットサービスに対する過払い金返還請求

イオンクレジットサービスとは

イオンクレジットサービス株式会社(以下、「イオンクレジットサービス」といいます)は、大手スーパーの「ジャスコ(今のイオン)」の子会社として設立されたクレジットカード会社を前身とする企業です。かつて、同じ商号のクレジットカード会社が「イオンカード」を発行し、イオンの買い物客を中心にカード会員を獲得していました。

その後、イオングループ内の組織再編により、「イオンカード」事業は現在の株式会社イオン銀行(以下、「イオン銀行」といいます)に承継されました。現在のイオンクレジットサービス株式会社は、旧イオンクレジットサービス株式会社から債権回収や保証等の事業を引き継いでいます。

「イオンカード」の過払い金返還請求についてご説明いたします。

イオン銀行とイオンクレジットサービスは別の法人

まず、イオン銀行とイオンクレジットサービスは別の会社だということをご理解いただく必要があります。

かつてイオンクレジットサービスとの間でカード契約を結び、現在もイオン銀行との間で「イオンカード」を使い続けている人はとても多いです。

同じ紫色の「イオンカード」を使い続けているので、ずっと同じクレジットカード会社だと感じるのは無理もないことですが、イオングループの組織再編によって設立された別の会社です。

現在「イオンカード」を使ってキャッシングやショッピングをした場合、取引相手はイオン銀行です。

これに対し、昔の「イオンカード」のキャッシング取引から発生する過払い金の返還に対応するのは、イオンクレジットサービスです。

過払い金が発生している可能性のある取引とは

平成19年(2007年)3月10日以前のキャッシング取引

「イオンカード」は、平成19年(2007年)3月10日まで、カードキャッシングに適用される利率が利息制限法の上限を超えていました。

したがって、平成19年3月10日以前から、イオンカードのキャッシングを継続的に使っていた場合は、イオンクレジットサービスに対して過払い金が発生している可能性があります。

なお、ショッピング取引からは過払い金は発生しません。

満額を目指すなら裁判が必要。

イオンクレジットサービスは、弁護士から過払い金の返還を求められると、話し合いだけでも一応の返還に応じます。

取引期間がそれほど長期でないご依頼者様の場合は、裁判を起こさなくともご納得いただける水準で回収できることが多い会社です。

しかし、イオンクレジットサービスは、他の貸金業者と同じく、過払い金から生じる利息を元本に充当しない計算方法に基づく金額を主張します。

そのため、取引期間が長期に及ぶ場合は、本来あるべき計算方法に基づく金額に比べて非常に低い水準でしか返還に応じません。

法律事務所では、イオンクレジットサービスとの取引期間が長く過払い金が高額に及ぶご依頼者様に関しては、積極的に訴訟を提起して適切な金額を回収するよう努めています(もちろんご依頼者本人が訴訟までは望まない場合は話し合いだけで解決します)。

なお、弁護士に依頼せずご本人が直接過払い金の返還を求めた場合、イオンクレジットサービスの提案する和解案は上記よりもさらに低い水準となることが予想されます。

過払い金返還請求をした場合

過払い金返還請求をした場合、イオン銀行のクレジットカードはどうなるのか。

延滞しなければイオン銀行のクレジットカードはそのまま使える

現在も「イオンカード」を使用している人がイオンクレジットサービスに対する過払い金返還請求をした場合、「イオンカード」はどうなるのでしょうか。

前述のとおり、現在の「イオンカード」はあくまでイオン銀行との間の取引です。

イオン銀行のクレジットカード契約では、イオンクレジットサービスが保証会社となっています。

そして、イオン銀行の会員規約では、イオンクレジットサービスが保証を中止または解約した場合は、イオン銀行のカードが利用停止され又は会員資格を喪失するとともに、イオン銀行との関係で期限の利益を喪失する旨が規定されています。

もっとも、イオンクレジットサービスとの保証委託契約においては、イオンクレジットサービスに対して過払い金返還請求をしたことは保証契約の中止や解約の事由になっていません。

過払い金返還請求は、あくまで貸金業者に対して払いすぎたお金を取り戻す手続きであり、債務不履行その他信用不安につながる行為ではないからです。

したがって、イオンクレジットサービスに対する過払い金返還請求をしたからといって、イオン銀行のカード会員規約上、カードの利用停止や会員資格喪失の事由には該当せず、そのまま「イオンカード」を使用し続けることができます。

実際、イオンクレジットサービスから過払い金を取り戻した後もイオン銀行のクレジットカードをそれまで通り使い続けています。

延滞するとカードは停止され、過払い金と相殺されてしまう。

一方、イオン銀行に対する支払を一回でも延滞すると、それを理由として「イオンカード」は利用停止され又は会員資格を失うとともに、カード会員はイオン銀行に対する期限の利益を喪失します。

そして、保証会社であるイオンクレジットサービスが「イオンカード」の未払い債務を代位弁済し、カード会員に対して求償権を取得します。

その結果、イオンクレジットサービスに対する過払金債権と上記の求償権が差し引き決済されます(相殺といいます)。

相殺の結果、過払い金の方が多ければ、クレジットカードの債務は消滅し手元にお金が返ってきます。

一方、過払い金が求償権を下回ると、残った債務について債務整理を行うことになり、イオンクレジットサービスが加盟する指定信用情報機関を通じて信用情報にその旨が情報登録されます。 イオン銀行のクレジットカードの支払いにお困りの方は、最初から債務整理の方針で手続きを進めるので問題ありませんが、そうではなく単にイオンクレジットサービスの過払い金だけ回収したいという方は、うっかりしてイオン銀行に対する返済が遅れることがないように注意しましょう。

債務整理は事務所選びが一番大切!