債権者平等の原則
債権者平等の原則とは
公正を確保するためのルール
「えこひいき禁止、金額に比例して平等に」
債権者平等の原則とは、一人の債務者に対して複数の債権者がいる場合、債権者は原則として債権額に応じて平等・公平に扱われなくてはならないというルールです。
たとえば、ある人が、A社から300万円、B社から200万円、C社から100万円を借りているとします(全額についてすでに返済期限が到来しているとします)。
この人に財産や収入がたくさんあって、約束通りすべての借金を返済できるなら、特に債権者平等の原則が意識される場面ではありません。
しかし、たとえば全財産をかき集めても100万円しかなく、全員に対して約束通りの返済はできないという場合は債権者平等の原則が問題となります。
この状況で、たとえばC社の借金100万円だけを全額返済してしまうと、A社とB社はC社に比べて不利益に扱われていますから、債権者平等原則に反することになります。
債権者の「えこひいき」は許されないわけです。
このケースでは、全財産100万円を、ABC各自の債権額に比例して3:2:1の比率で分け合うのが原則となるのです。
債権者の「頭数」ではなく、「債権額」に応じた公平さが求められるのです。
個人からの借金にも適用される
それでは、ある人がカードローンでA社に300万円、クレジットカードの買い物でB社に200万円の負債があり、親しい友人であるCさんからも個人的に100万円を借りているという場合はどうでしょうか。
債権者平等の原則は、貸金業者だけでなく、家族、親せき、友達や同僚などの、個人からの借金にも等しく適用されます。
したがって、このケースで、Cさんの借金100万円だけ払うことは、やはり債権者平等原則に反することになります。
この債権者平等原則に反して一部の債権者にだけ優先的に弁済することを、偏頗(へんぱ)弁済といいます。
弁護士が任意整理において複数のカードローンなどの返済計画を立てるときは、基本的には債権者平等の原則を意識して行い、一部のカード業者にだけ有利な条件で和解することがないようにします。
(なお、複数のカード取引のうち一部の業者だけを選択して任意整理の対象とすること自体は問題ありません。)
家族・親せき・友達・同僚から借金がある人は要注意
カードローンやクレジットカードのほか、家族や友人などからも借金している場合、これらの親しい人にだけは迷惑をかけずに返済したいと思うのが人情かと思います。
しかし、債務整理の手続きにおいては、それが債権者平等原則に反することになり、その後の手続きに影響する可能性もあります。
行き当たりばったりで一部の借金だけ返してしまうのではなく、カードローンなどの貸金業者からの借金も含めて、借金全体をどのように整理していけばいいか見通しを持つべきでしょう。
皆様のご事情やお気持ちも踏まえたうえで、どのような債務整理の方法が良いのかご提案致します。お気軽に法律事務所までご相談ください。