マンションの管理費を滞納している場合、債務整理できるか?債務整理したら滞納管理費はどうなるか?

滞納したマンション管理費。どうすればよいの?

マンション管理費の滞納が発生している場合、他の業者からの借入があり整理の必要がある場合や、住宅ローンの支払すら困難となっている場合も多いのではないでしょうか。

弁護士に債務整理を依頼した場合、マンションの滞納管理費について、どのように扱われるのか解説します。

マンション滞納管理費について

マンションの滞納管理費は、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」といいます)7条1項によって債務者の区分所有権等の上に特別の先取特権を有する債権とされています。

先取特権とは、債務者の財産について、他の債権者に先立って優先的に弁済を受ける権利のことです。

仮にマンションの抵当権者である住宅ローン債権者が担保権を実行した場合、マンション滞納管理費は、住宅ローン債権者に次いで、他の一般債権者に優先して配当を受けることになります。

任意整理を選択した場合のマンション滞納管理費の扱い

貸金業者等の金融機関の債権については、任意整理によって、将来の利息を減らしたり、長期の分割支払にすることで月々の債務の返済額を減らしたりすることができます。

マンション滞納管理費については、当該マンションの管理組合が債権者となるため、上記のような 利息を減らしたり、長期の分割支払にしたりする扱いが可能かは事案によります。

ただ、マンション管理費以外の債権を任意整理することによって、支払の余力が生じ、マンション管理費の滞納を解消できる場合もあります。

自己破産を選択した場合のマンション滞納管理費の扱い

自己破産の場合、マンション滞納管理費は、マンションの上に特別の先取特権を有す債権ですので、他の抵当権者と同じ取り扱いを受けます。

自己破産の場合、競売手続か任意売却かは事案によって異なりますが、いずれにしてもマンションの所有権を失います。マンション滞納管理費については、マンションの売却代金から優先順位に従い配当を受けることになります。

破産手続終了時に、マンション滞納管理費が債務として残っている場合、免責決定が確定すれば、マンション滞納管理費の債務は免責され、支払う必要はなくなります。

なお、区分所有法8条により、マンション滞納管理費は買主にも支払義務が発生することになりますので、免責確定後は買主が支払を行うことになります。

個人再生を選択した場合 のマンション滞納管理費の扱い

マンションを所有されている方の中には、「住宅ローンの支払を継続して住宅を残したい」との希望から個人再生の手続を選択する方も多いかと思います。

個人再生においては、住宅資金特別条項を付することで、住宅ローンの支払を継続して住宅を残すことが可能となります。

しかし、住宅資金条項を定めるためにはいくつか条件があり、その一つが、住宅の上に住宅資金貸付債権以外の個人再生法53条1項に規定する担保権がないことです。

マンション滞納管理費は、個人再生法53条1項に規定する担保権を有する債権であるため、マンション滞納管理費がある状態では、住宅資金特別条項を定めることができません。

住宅資金特別条項を定めるためには、マンション滞納管理費の滞納を解消する必要があります。

東京地裁では、再生計画認可決定までにマンション滞納管理費の滞納を解消できると相当の確度で見込まれ、個人再生委員が開始相当の意見を提出した場合には再生手続を開始する運用のようです。

大阪地裁では、再生計画の書面決議に付する決定までにマンション管理費の滞納を解消できる場合には再生手続を開始する運用のようです。

以上のとおり、裁判所ごとに運用が異なりますので、マンション滞納管理費がある場合には、裁判所の運用をよく確認する必要があります。

また、マンション滞納管理費を債務者が支払った場合、弁済の時期や内容によっては、再生計画の返済額を上乗せする必要が出てきます。

マンションの管理費を滞納しているケースでの債務整理のご相談も承ります

マンションの管理費を滞納している場合、他の借入によって借金問題を抱えている方も少なくないと思われます。

債務整理(任意整理、自己破産、個人再生)の中でどの手続がよいのかは、弁護士に相談してみなければ、なかなか分かるものではありません。法律事務所にお気軽にご相談ください。

債務整理は事務所選びが一番大切!