内容証明郵便が届いた方へ

「支払わなければ法的手続きをとる」との内容証明郵便が来ました。どうなってしまうのでしょうか。恐ろしいです。

ご自宅に内容証明郵便が届き、驚いて相談に来る方がいらっしゃいます。

内容証明郵便とは何なのか、そして特に、カード会社などからの内容証明郵便に対してどう対応すればよいかご説明します。

内容証明郵便とは

内容証明とは、「いつ、誰が誰に対して、どんな内容の文書を送ったのか」ということを郵便局が証明してくれるサービスです。

基本的には、特定の内容の文書を送ったという事実を証明するための制度です。

しかし、民事裁判における証拠として残しておくために利用されることが多いことから、「このあと裁判までやるつもりだぞ」という真剣さを伝える目的で利用されることも実務上は多いです。

借金の返済を求める督促の場面以外でも、弁護士が依頼を受けて不倫の慰謝料や迷惑行為の停止などを求める場合などに、内容証明郵便を利用して通知するケースもしばしばあります。

消滅時効と内容証明郵便

カードローンなどの借金を滞納してしばらくすると、貸金業者や債権回収会社から、返済を求める督促の書面が届くことがありますが、この書面が内容証明郵便で届くこともあります。

民法には「消滅時効」という制度があり、借金などの滞納が一定期間継続するとその債権が消滅することがあります。

そして、この時効の完成を暫定的に猶予する「催告」という手続きがあります。

「催告」は、普通の郵便で行ってもよいのですが、間違いなく催告をしたと証拠に残すためには内容証明郵便を利用することが一般的です。

貸金業者がわざわざ余計に郵便料金をかけて内容証明を利用するのは、この時効の完成を阻止するためといえます。

一括請求を求める内容証明郵便

カードキャッシングやクレジットカードのショッピング取引には、通常、「期限の利益喪失特約」とうい条件が付されており、返済期限に遅れたら残元金に利息や遅延損害金、諸費用を加えた全額を一括して返済しなければならないという契約条件になっています。

したがって、貸金業者から送られてくる「催告」の内容証明郵便では、これらの金額を一括して支払うよう求められていることがほとんどでしょう。

内容証明が来て自分で対応するのは難しい

滞納がごく短期で、支払いも問題なくできるならば、ご自分で債権者に連絡して対応することも難しくないでしょう。

しかし、滞納が長期に及んでいたり、具体的な返済のめどが立たない状態では、自分で債権者に連絡しても、解決は難しいものです。

また、何も知らずに借金をごく一部でも支払ってしまったり、あるいは返済を約束するなど、借金の存在を認める言動をとってしまった場合、時効で消える可能性があったとしても、もはや時効の主張が出来なくなってしまうという危険があります(民法152条)。

場当たり的に対応するのではなく、まず弁護士に相談して具体的な解決の見通しを立てるべきでしょう。

受任通知で督促が止まる可能性がある

弁護士が債務整理(自己破産や個人再生、任意整理など)の依頼を受けると、速やかに債権者に対して受任通知を送付します。

貸金業法や債権管理回収業に関する特別措置法では、貸金業者や債権回収会社が受任通知を受領した後に債務者に直接取り立て行為を行うことを禁止しています。

そのため、弁護士に依頼することによって、当面の督促を止めることができるのです。

(ただし、貸金業法や債権管理回収業に関する特別措置法の規制が及ばない債権者に対しては、法的な効力として取り立てを規制することはできず、事実上のお願いになります。また、貸金業者や債権回収会社であっても、裁判上の請求までは規制されていません。)。

内容証明郵便による督促を受けたら、弁護士に相談して見通しを立てましょう

内容証明郵便による督促は、民法上の催告として時効の完成を阻止し、債権の回収をあきらめないという債権者の意思の表れともいえます。

滞納が長期であったり、金額が高額になればなるほど、債権者との交渉も難航しがちです。

内容証明郵便が届いてお困りの方は、お気軽に法律事務所までご相談ください。

債務整理は事務所選びが一番大切!