自己破産したら戸籍に載るか
自己破産したら戸籍に記録が残ってしまうのでしょうか?
結論から言うと、 自己破産しても戸籍に載ることはありません。順を追って詳しくご説明しますね。
「戸籍」とは
そもそも 「戸籍」とは、人が出生してから死亡するまでの身分関係(出生、結婚、養子縁組、死亡など)について、登録・公証するためのものです。
戸籍に記録できる事実は、戸籍法という法律によって決められています。
夫婦、親子などの身分関係と関係ない情報は、そもそも戸籍に記録することはできません。
破産は、その人の身分関係とは何ら関係がない情報です。
したがって、自己破産したことが戸籍に載るわけがないのです。
「破産者名簿」と誤解している?
「破産したら戸籍に載る」は間違い
最高裁判所の通達の中に、“一定の条件に該当する場合は、裁判所書記官が、破産者の本籍地の市区町村において戸籍に関する事務をつかさどるものに対し、当該破産者について破産手続開始決定が確定した旨を通知する”というものがあります。
「破産したら戸籍に載る」というデマが生まれた元凶はこれではないかと思われます。
破産者名簿
”破産者について破産手続開始決定が確定した旨を通知”とは、「破産者名簿」と呼ばれる記録に関するものです。 「破産者名簿」 は、「破産者等に該当しないことの証明書」の発行業務のために使われます。
破産者等に該当しないことの証明書
各市区町村役場では、さまざまな身分証明書を発行してくれます。その中に、「破産者等に該当しないことの証明書」というものがあります。
特定の職業や地位に就くためには、その人が破産者ではないことが条件となっているものがあります。
そして、この要件を充たしていることを証明するために、実務上、各市区町村役場で発行される「破産者等に該当しないことの証明書」の提出が求められることがあります。
「破産者等に該当しないことの証明書」の発行業務のために使われるのが「破産者名簿」
この証明書の発行事務のために、各市区町村役場では、「破産者名簿」という記録を作成・管理しており、住民から証明書の申請があった場合、破産者名簿を確認して、その申請者が記載されていないことを確認してから証明書を発行しています。
もっとも、破産者名簿に記載されるのは、破産手続開始決定後に免責が許可されていないなど、極めて限定的な場合にすぎません。
自己破産の手続きが無事終了し、免責許可決定が確定すれば、破産者名簿に載ることはないのです。
そして、免責が許可されないということも、統計上めったにありません。
したがって、「破産者名簿に載るかもしれない」という心配をして自己破産を躊躇する必要はまずないと言っていいでしょう。
自己破産を諦める前に弁護士に相談しましょう
テレビやインターネットでは、自己破産に関する様々な情報が手に入りますが、その中には全くの誤解に基づくものや、非常に古く現在では正しくない情報が紛れていることがあります。
また、同じ自己破産の手続きであっても、申し立てる地方裁判所によって運用が異なることもあります。
法律事務所では、日本各地の裁判所において自己破産の申し立てを行っております。
自己破産をお考えの方は、お気軽にご相談ください。