自己破産したら税金や健康保険料、年金保険料の支払も免れるか

個人の債務者にとって、自己破産をする最大の目的は、免責を得ることにあります。

免責とは、借金等について法的な責任を免れるということです。

しかし、破産法上、自己破産しても免責されない債権があります。これを「非免責債権」といいます。

非免責債権

税金は非免責債権

「租税等の請求権」とは

破産法上、非免責債権の筆頭に挙げられているのが「租税等の請求権」です。

免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。

一 租税等の請求権

破産法253条1項を一部抜粋

「租税等の請求権」とは、国税徴収法又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権をいいます(破産法97条4号)。

「国税」とは国に治める税金のことで、

  • 所得税
  • 法人税
  • 相続税
  • 贈与税
  • 消費税
  • 酒税
  • たばこ税

などが代表的です。これらの税金は、国税徴収法という法律によって、通常の債権とは異なる手続きによって徴収することが許されています。

注目すべきは、これら国税以外の債権のうち「国税徴収の例によって徴収することのできる請求権」も「租税等の請求権」に含まれていることです。

まず住民税、事業税、固定資産税、自動車税などの地方税がこれに当たります。

これらの税金は、国や自治体の財政基盤をなす重要な歳入であることから、自己破産によっても免責されないこととされているのです。

税金だけではない。社会保険料も非免責債権

しばしば誤解される方がいるのですが、税金以外の社会保険料もまた「租税等の請求権」に当たり、自己破産しても支払義務は免れません。

たとえば健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料は、法律によって国税徴収の例によって徴収することができるとされているため、「租税等の請求権」に該当します。

財産を差し押さえられることもある。放置はしないこと。

「租税等の請求権」にあたる債権は、自己破産が終了しても免責されることはなく、支払義務が残ります。

支払わずに放置した場合、給料等の財産を差し押さえられることもあるため、放置することはお勧めできません。

毎月の家計の中から、滞納した税金等をいくらずつであれば支払うことができるか具体的に検討し、自治体の税務課などの納付窓口に事情を説明して分納などによって納付できるよう相談するべきでしょう。 カードローンやクレジットカードの返済が重なり税金や社会保険料を滞納している方は、専門家にご相談ください。

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