債務整理すると、慰謝料も減免されるか?

「離婚した場合」「交通事故を起こしてしまった場合」など、さまざまな事情で人に迷惑をかけると慰謝料の支払い義務を負うことがあります。

高額の慰謝料を請求されるケースも多く、慰謝料の支払いが家計を圧迫している状況の方も見受けられます。慰謝料を支払うために借金をしてしまった結果、借金返済に追われてしまった方も少なくないと思います。

慰謝料を支払うために負った借金を債務整理できますか?

そもそも、債務整理をすると慰謝料も減免されたりしますか?

自己破産すると慰謝料の支払いは免除されるか?

(1)自己破産によって慰謝料も免除されるか?

自己破産とは、自分の財産や収入では借金等の負債を支払えない場合に、裁判所に申し立て、免責(簡単に言えば、借金の返済義務を免除すること)が許可された場合に、借金の返済義務をなくすことのできる手続です。

自己破産によって、借金等の返済義務は免除されます。しかし、税金など免除されないものもあります。

慰謝料についても、場合によっては免除されないものもあります。

(2)自己破産によって免除されない慰謝料とは?

わざと他人の物を壊した場合や日常的に配偶者に暴力を振るったことが原因で離婚した場合など、悪意で不法行為をしたといえる場合には、破産法上、慰謝料の支払義務を免除されないことになっています。

同じように、わざと人を死亡させたり、けがをさせたりした場合や犯罪行為により慰謝料が発生した場合にも、慰謝料の支払義務を免除されません。

もっとも、離婚の場合などは、事案に応じて柔軟に考えられています。

夫婦間で暴力があったとしても、回数が少なく、性格の不一致が離婚の主な原因である場合などには免除が認められると考えられます。

個人再生すると慰謝料の支払いは免除されるか?

個人再生をすると慰謝料は減額できるか?

(1)個人再生とは、返済額を一定の限度に減らし、定められた額を3年間で返済することで、残りの借金等の負債について支払いを免除する制度です。

(2)個人再生の場合は支払額が一定額に減額され、その金額を原則として3年間で分割払いすることになります。

500万円の慰謝料の支払義務がある場合、個人再生を申し立て、3年払の再生計画案が認可されれば、3年間毎月約2万8000円を支払っていけば、残りの支払いは免除されることになります。

(3)民事再生によって減額できない慰謝料とは?

自己破産の場合と同様に、悪意で不法行為をした場合や犯罪行為によって生じた慰謝料などについては、減額ないので、注意が必要です。

任意整理で慰謝料を減額できるか?

(1)任意整理では相手方と交渉をすることになる

任意整理とは、相手との交渉によって支払う金額や支払方法(分割払いなど)を改めて約束し直し、約束した内容にしたがい支払っていく手続です。多くの場合は、分割して支払っていきます。

慰謝料に関しても、相手との交渉によって分割払いなどに応じてもらえる場合もあります。

慰謝料は、相手に対し精神的な苦痛を与えた場合などに支払うものです。そのため、借金の場合と異なり、簡単に相手は減額に応じないことも少なくありません。

慰謝料の場合は、貸金業者との交渉とは異なり、示談交渉に近い形になります。

(2)月々の支払金額を低くすることで他の借金も任意整理できる場合もある

慰謝料を分割して支払らっているが、月々の支払いが大変な場合については、月々の支払額を低くすることで解決できる場合があります。

また、公務員であり官報に掲載されることに抵抗がある場合、慰謝料の支払額を定額にすることにより自己破産や個人再生をせずに済み、官報に掲載されずに済む場合もあります。

慰謝料の交渉は、なかなかまとまらないことが多いです。そのため、交渉は冷静かつ慎重に行うことが重要です。お互いの有利な点や妥協できる点を十分に考慮した解決案を提示して、交渉する必要があります。できるだけ不利とならないように交渉するためには、弁護士に相談するのも方法でしょう。

「債務整理をすると慰謝料はどうなるか」まとめ

慰謝料についても、多くの場合、自己破産、個人再生、任意整理のいずれの方法もとることができる場合が多いです。

任意整理の場合、相手方との交渉が難しい場合もありますが、うまく合意がまとまれば、月々の支払金額を低くする合意をすることも可能です。

慰謝料が高額な場合には、月々の支払金額を低くすることによって、その他の借金に関しても任意整理できるようになるケースもあります。お気軽にご相談ください。

債務整理は事務所選びが一番大切!