自己破産をお考えの方へ

破産(自己破産)とは

破産とは

破産とは、破産法に基づく手続で、借金などの支払が出来なくなった債務者について裁判所が破産手続の開始を決定し、原則として破産管財人を選任して債務者の財産をお金に換えて債権者に配当する手続です。

自己破産とは

破産のうち、債務者が自分自身の破産手続開始を申し立てることを「自己破産」と呼びます。

自己破産を申し立てる場合、同時に免責許可の申立てを行うことが一般的です。

「免責」とは、債務者が経済的に立ち直るために、配当によっても払えなかった債務について法的に責任を免れさせる制度です。(「責任がない」とは、とてもおおざっぱに言えば、払わなくても財産を差し押さえられたりしないということです)。

自己破産をする最大の目的は、免責を得て、すべての債務から法的に解放され、経済状況を抜本的に立て直すことにあるといえます。

ただし、免責にはルールがあり、自己破産を申し立てれば当然に免責が許可されるというわけではありません。

どんな場合に破産できるか

支払不能

個人の自己破産の場合、まず「支払不能」にあることが破産手続を開始する条件となっています(破産法15条1項)。

「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいいます(破産法2条11号)。

「支払不能」の判定基準

「支払不能」に当たるかどうかは、一時的な財産の価額だけでなく、継続的な収入の見込み信用状態などによって総合的に判断されるため、簡単な判断基準があるわけではありません。

しかし、ひとつの目安として、現在の全ての債務(貸金業者だけでなく友人などからの借入など支払わなければならないもの全て)を概ね3年程度で完済する具体的な目途が立たないようであれば、「支払不能」に陥っている可能性が高いといえるでしょう。

破産した場合の影響

破産したら、借金が全部消えることは分かりました。
でも・・・財産も全部没収されてしまうんですよね?
その後はどうやって生活していけばいいんですか?
一文無しではさすがに生きていけません・・・

手元に残る財産もあります。
そもそも、破産の目的は、「経済状況を抜本的に立て直す」ことです。
今後の生活の基盤を支える生活必需品までは処分されませんよ。

破産とは、債務者の財産をお金に換えて債権者に配当するという手続です。したがって、原則として破産手続開始の時点で有する債務者の全ての財産は破産管財人によって処分されて債権者への配当に充てられることになります(破産法34条1項)。

処分対象となる財産

たとえば、不動産や一定額を超える現金、預貯金、生命保険(ただし解約返戻金があってその額が20万円以上のもの)のほか、他人への貸付金や未回収の過払金など目に見えない債権も含まれます。また、お勤めの方で退職金がある場合、破産手続開始決定時の退職金見込額の8分の1に相当する金額も債権者の配当資金に組み込むべき財産とされています(退職金自体がなくなるわけではありません)。

破産後も手元に残る財産

ただし、99万円以下の現金や、法律上差し押さえが禁止されている財産(たとえば、衣服や家具家電、農業などに必要な用具)は、破産手続開始決定後も手元に残すことができるので(「自由財産」といいます。同3項)、何もかも失い普通の生活すらできなくなるというわけではありません。

破産の手続はどのように進むのか

―原則は「管財事件」―

すでに述べた通り、破産手続は、債務者の財産をお金に換えて債権者の配当に充てる手続です。

そのため、破産法上の原則としては、裁判所は、破産手続開始決定と同時に破産管財人を選任し(破産法31条1項)、破産管財人が破産者のすべての財産を調査・管理し、これをお金に換えて債権者に配当します。

破産管財人の仕事には法的な知識が必要となるため、通常は弁護士が選任されます。

破産管財人が選任されると、破産者の財産を管理・処分する権限は破産管財人に専属し(破産法78条1項)、破産者が勝手に処分することはできません。

また、破産者宛ての郵便物は、通常、いったん破産管財人に配達され、中身をチェックされます(81条、82条)。
隠し財産などの有無をチェックするためです。

破産管財人は、破産者から引き継いだ財産や、自ら発見した財産をお金に換えて、破産法のルールに従って債権者に対して配当を実施します。

破産管財人は、破産手続開始決定から数か月後に実施される債権者集会において、破産者の財産状況の報告や、債権者からの質問への回答、配当額の報告や任務終了の報告などを行います。

この債権者集会には、破産者(と申立代理人)も出頭します。
債権集会は1回で終わる場合もあれば、換価に時間を要する場合など複数回行われることもあります。

「同時廃止」―破産管財人が選任されない手続―

破産者の財産が一定の基準よりも少なく、破産管財人の報酬に充てる費用にも満たないことが申立書類から明らかで、特に重大な浪費やギャンブル行為などの問題も見当たらない場合は、裁判所は破産管財人を選任せず、破産手続開始決定と同時に破産手続を終了させる決定をします。

これを実務上「同時廃止」といいます。

この場合、破産管財人による調査や債権者集会、債権者への配当などは行われません。破産手続は終わり、あとは免責審尋という手続に入ります。

同時廃止は、申立前に専門家である代理人弁護士による十分な調査が行われていることが前提となっています。そのため、特に財産がない場合であっても、弁護士を申立代理人としない申立てについては原則として管財事件とされます。

破産申立は自分でできるのか

破産申立ては、弁護士や司法書士に頼まずに自分自身で行うことも法律上は許されています。
しかし、財産状況を詳しく調査する必要があるため、原則として破産管財人が選任されます。

また、申立に必要な書類の作成や提出はご自身で行う必要があります。
裁判所の職員は、一般的な書式や記入例は教えてくれると思いますが、債権者との公平の観点から、どう書けば免責が許可されるかなど個別具体的な指導をしてくれることはまずないでしょう。

自分でやってできないことはないが、非常に大変だということはご理解ください。

破産申立を弁護士に頼むと何をしてもらえるか

自己破産の申立てを弁護士に頼んで代わりにやってもらうことができます。
この場合の弁護士を「申立代理人」といいます。
申立代理人は、あなたが自分で選んだあなたのための弁護士であり、ルールの範囲内で、あなたの利益のために行動します。
この点で、裁判所によって選任され行動する破産管財人とは異なります。

申立代理人弁護士は、依頼を受けると債権者に対して受任の通知を発送します。それ以降、債権者とご自分で対応する必要はなくなります。

また、申立書類を作成し裁判所に提出します。ご自分でご用意いただかなければならない書類もありますが、どんな書類がどこまで必要なのか、すべて申立代理人がご説明します。

破産手続開始決定後は、破産管財人との打ち合わせや債権者集会、免責審尋へも同行し、手続きが円滑に進行するようサポートします。

司法書士との違い

司法書士は、申立代理人になることはできません。

申立書類の作成を代行してくれるだけです。

特に見るべき財産がなくとも、原則として管財事件とされますので、申立て後の破産管財人との打ち合わせや裁判所への出頭は、ご自分で行わなければなりません。
したがって、破産管財人や裁判官からの質問に対し、一人で対応することを余儀なくされます。

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