「外国人だけど債務整理したい!」在留外国人には債務整理は無理?債務整理をすると帰国させられるのか?

外国人の方の中には借金を返せずに困っている人もいます。
一方で、自己破産などをしてしまうと日本にいられなくなるのではないか?という債務整理への不安もあるようです。

借金問題を解決する方法は在留外国人の方でもあります。ご説明します。

在留外国人でも債務整理できる場合がある

個人の債務整理は大まかに自己破産、個人再生、そして任意整理という3つの方法があります。

ただし、自己破産と個人再生という方法は、日本に営業所、住所や居所、財産を持っている方でないとできません(破産法4条1項、民事再生法4条1項)。

つまり、日本に住んでいる方や、日本で会社を持っている方、その他財産を持っている方であればできます。

在留資格がある方でしたら、在留カードの裏面に住所を記載しているのが通常ですので、自己破産も民事再生も法律上行うことはできます。

また、任意整理については特に法律で制限がございませんので、どなたでもご利用いただけます。

自己破産の場合

破産(個人の自己破産)とは、破産法に基づく手続で、自分の収入や財産ではすべての借金等の負債を支払うことができない場合に、生活に必要な一部を除く全ての財産をお金に換えて、各債権者に破産法のルールに従って分配するとともに、免責によって破産者を経済的に更正させることを目的とする制度です。

「自己破産をしたら仕事をクビにならないか?」(在留資格を失うのではないか?)

自己破産をして、裁判所が許可すれば借金を返済しなくてよくなりますが、デメリットはあります。

自己破産をすると制限を受ける仕事がある

例えば、自己破産の手続きが開始すると、しばらくは保険募集人や警備員など特定の資格を要する仕事はできなくなります。

官報を通じて、破産した事実が周りに知られる可能性がある

また、官報にも破産をしたことが氏名、住所と共に掲載されてしまうので、官報を通じて周りに破産をしたことがばれてしまう可能性があります。

自己破産したことを隠したまま仕事を続けると就業規則違反になり処分を受ける可能性はあります

破産をしたことだけで解雇することは、場合によっては違法ですので、そのときは弁護士などの専門家に相談しましょう。

個人再生の場合

個人再生は、裁判所を通じて、借金を一定割合減らして原則、3年の分割で支払う手続です。

3年の分割で支払うのが難しい方には×

借金が減る点では魅力的な手続ですが、そもそも3年の分割で支払う方が難しい方ですと裁判所が認めない可能性があります。

例えば、「借金が減れば分割で支払えるだけの給料はあるが、来年帰国予定」というような方ですと、「最後まで計画通り支払い出来ないのではないか?」という印象を与えがちです。裁判所が個人再生手続きを認めない可能性があるでしょう。

任意整理の場合

任意整理は、自己破産や個人再生と違い、裁判所を通さない手続です。

弁護士があなたの代理人となり、債務の総額や利息分を減らす交渉をします。

裁判所を通さない自由度の高い手続ですが、借金をある程度返すあてすらない場合ではこの手段で債務整理をするのは難しいかもしれません。

債務整理をするなら、外国にある財産も申告する必要あり

日本で自己破産などを行っても、日本の裁判所から他の国には連絡は行きません。

しかし、自己破産や民事再生をするときには、他の国に財産があるならば、裁判所に対し、どこに何があるのかを伝えなければいけません。

保有している海外資産を裁判所に正直に伝えないと、次のような問題があります。

(1)自己破産の場合の問題

「免責不許可事由」に当たる可能性がある

免責不許可事由があると、裁判所は、自己破産をしても借金の支払いをしなくていいと認めてくれません。

破産法252条1項は、「債権者を害する目的で」「財産を隠避」することを免責不許可事由と定めています。

例えば、自分の財産を隠して借金の回収を逃れようとすれば、裁判所に借金の支払いをしなくていいと認めてもらえない可能性が出てきます。

犯罪行為にあたる可能性がある

さらには、故意に財産を隠したとして、詐欺破産罪という犯罪に当たってしまうかもしれません(破産法265条1項1号)。

(2)個人再生の場合の問題

再生計画が認可されない/再生計画が取り消されてしまう可能性がある

再生計画が認可されなかったり取り消されたりしてしまうと、個人再生手続のメリットである借金の減額が認められないので非常に大きなことです。

「再生計画の決議が不正の方法により成立するに至った」として、再生計画が裁判所に認めてもらえないおそれがあります(民事再生法174条2項3号)。

また、すでに再生計画が確定した後であれば、「再生計画が不正の方法により成立した」として再生計画が取り消されてしまうかもしれません(民事再生法189条1項1号)。

債務整理で永住権はどうなるか?

永住権を既にお持ちの方の場合

債務整理をしても永住権はなくなりません。安心してください。

永住権の取得を目指している方の場合

永住権を獲得するには、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することが必要

在留外国人の方には日本での永住権を取りたいと考えている方もいます。

そのような方の場合、債務整理をすると永住権を取るのが難しくなる可能性があることに注意する必要があります。

法務省のサイトには「永住許可に関するガイドライン」という文章があります。 永住許可に関するガイドライン には「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が必要であると書かれています。

つまり、日本でお金に困って生活できなくなると考えられる外国人は、永住権を認めてもらえない可能性が高いです。

債務整理をする場合、永住権を取得することが遅くなる可能性があることは知っておいてください。

在留資格を持っている外国人の方であっても、基本的には債務整理をすることができます。

しかし、どの手続をするのが一番いいのか、日本人が債務整理をする場合と違って難しいことが多いです。

法律事務所では借金に関する相談を受けています。借金返済にお困りの場合はお気軽にご利用ください。

債務整理は事務所選びが一番大切!