債務整理をすると就職活動で不利になるか?
借金やローンが返しきれない。債務整理をしたい。でも、就職活動・転職活動で不利になったら嫌だなぁ・・・
債務整理をした場合に就職活動やその後の生活にどのような影響がありうるか、ご説明しますね。
自己破産や個人再生をした場合の影響
(1)自己破産や個人再生をすると官報に載る
自己破産や個人再生をすると「官報」に名前と住所が掲載されます。
官報は政府が発行する広報誌のようなものです。
自己破産や個人再生をすると官報には掲載されますが、一般の方で官報を読んでいる方はそれほど多くありません。もっとも、公務員の方や銀行の融資担当の方の中には職業の関係から官報に日ごろから目を通す方もいると思います。
(2)採用選考上の影響
ア 一般の企業の場合
基本的に採用選考の際に、債務整理について問われることはありません。
就職活動の際に面接で重要視されることは、「会社で活躍できる人材なのか」や「共に働きたいか」といった事柄などであり、「債務整理をしたか」はさほど考慮すべき事項ではないと思います。
自分から伝えなければ企業に知られる可能性は非常に低い
債務整理をしたことは、個人の事情であり、債務整理をしたからといって就職希望先に話す必要はありません。
一般的に、債務整理をしたことが仕事の能力に影響するとは考え難いです。会社など採用する側が債務整理をしているかにこだわることはあまりないといってよいでしょう。実際に、「君は債務整理したことはあるのか」などと聞くことは想定できないと思います。
自分から伝えなければ企業に知られる可能性は非常に低いです。任意整理の場合はほとんどありません。自己破産や個人再生をしても、戸籍謄本などの就職の際に必要となりうる公的な書類には記載されることはありません。
ただし、自己破産をしたことがある人を採用しないという会社や選考応募者全員について実名検索している企業もあるといわれています。インターネット上に、官報から転載され、本人を特定できる方法で借金や自己破産に関する情報が載っていると、不利益に考慮していることも事実上考えられます。
この点、任意整理では、官報に載らないため、リスクは小さいと考えられます。信用情報機関には登録されますが、原則として本人でなければ開示請求できません。
イ 公務員試験の場合
公務員の選考は試験の成績や人物(像)など個人の能力をもとに、公正かつ公平に行わなければなりません。
そのため、官報に掲載され、採用担当者が知っていたとしても、採用選考上不利益となることはありません。
ウ 銀行等の金融機関の場合
基本的には、一般の企業や公務員試験の場合と同様に不利益に扱う根拠はありません。
しかし、銀行などの金融機関は官報を見ていたり、融資等の業務上信用情報を参照することができます。特に銀行などの金融機関では信用が重要になるので、自己破産や個人再生をしたことも考慮され、総合評価をした結果として不採用とすることもあるかもしれませんが、事実上想定される程度と考えられます。
(3) 就職後に不利益を受けることもない
債務整理をすると就職した会社で、居づらくなったり、何かしら影響がないのか気にしている人も少なくないと思います。
任意整理の場合には、官報に掲載されず公になることもありませんので特に心配はありません。
解雇や減給、配置転換の理由にはならない
自己破産や個人再生の場合も、自己破産や個人再生をしたことを根拠に解雇や減給といった懲戒処分をすることは法律上認められていません。
自己破産や個人再生が原因で減給や降格、不当な配置転換、解雇といった処分がされた場合、懲戒事由に該当しません。そのため、懲戒処分は違法なものとなり、こうした処分を交渉や労働審判、裁判などで争うことができます。
職場で噂になる可能性も低い
職場で居づらくなるかという話に関しても、一般の人は官報を見ていないので、職場で噂になるといったこともないと思ってよいでしょう。自己破産や個人再生をしたという事実も人の社会的評価を低下させる事実ですので、みだりに言いふらされた場合には名誉棄損となり慰謝料請求などが可能な場合もあります。
資格制限は一時的なもの
自己破産した場合、免責を受けるまでは、法律上資格制限がある職業もあります。たとえば、弁護士や、税理士、宅建士などについて制限があります。より身近なものとしては、保険外交員、警備員などの仕事についても制限があります。
しかし、資格制限は免責を受けるまでの、一時的なものです。
任意整理なら特に影響はない
自己破産や個人再生をすると、官報に載ります。官報掲載を避けたい場合は、任意整理という方法があります。
任意整理とは、クレジットカード会社や貸金業者との交渉により利息や遅延損害金を減額し、支払方法に関し合意する手続です。そのため、家族をはじめ借金やクレジットカード会社などと関係のない第三者に知られず債務整理をすることができます。なお、ブラックリストには載りますので、信用情報機関の関係者等には知られることになります。
任意整理の場合は、官報に掲載されることはありません。そのため、債務整理したことが職場にバレる可能性はほとんどありません。
ただし、任意整理をした場合にも、信用情報機関に「債務整理」との情報が登録され、いわゆるブラックリストに載ることになります。そのため、就職に伴い転居する際などに、完済から5~10年経っていなければ、ローンを組むことができないので注意が必要です。
就職への影響の心配なども、お気軽にご相談ください
債務整理したからと言って、就職できなくなる、あるいは、就職活動で不利になるということはあまりありません。
もっとも、採用、不採用の判断は総合的に行われており、その判断の理由は明らかにされないのが一般的です。
自己破産や個人再生の場合には官報に掲載されます。官報を見ている人は多くないですが、たまたま採用担当者が官報を見ていたため、自己破産や個人再生の事実を知って、採用しなかったというように感じるケースもないとはいえません。
その点、任意整理の方法では、就職希望先に知られず、借金の問題を解決することは可能です。
ご相談を頂ければ、借金返済に追われる不安のみならず今後の事情についてもお聞きしたうえで、最もふさわしい債務整理の方法をご説明いたします。お気軽にご相談ください。