「ソシャゲ課金のクレジットカード料金が払えない!」我が子が勝手に利用したスマホゲームの課金は、親が支払うしかないのか?

ソーシャルゲームにハマってしまい、10万円を余裕で超える料金の請求が来てしまいました。

僕のやっているゲームは、定期的に強いキャラクターが実装され、しかも、期間限定のガチャでしか手に入れることができないので、欲しいキャラが出るまでついついガチャを引き続けてしまいました。キャラ実装とともに新コンテンツやゲーム内イベントが解放され、そのキャラがいると楽にクリアできる為どうしても手に入れたかったのです。
 
コツコツ毎日遊ぶことによって貯めたガチャ用の「石」を使い切ってもそのキャラは当たらない、しかしどうしても今のうちにそのお目当てのキャラを引きたい!・・・という気持ちが止まらず、クレジットカードの暗証番号をスマホに入力し、何回か覚えていないほどにガチャを回してしまいました。

やがて、念願の欲しいキャラが当たり、しばらくは上機嫌でした。当選したときの画面の豪華な演出にも興奮してハイな気分でした。

数週間後、届いたクレジットカードの明細にはなんと(ガチャ課金分だけでも)十数万の請求が来てしまいました。

その請求を払えずに新たにカードを作っては返済することを繰り返し、その後も新しく実装された欲しいキャラを引く為のガチャを辞めることが出来ず、気づいたら手に負えないほどの借金額に膨れ上がってしまいました。

近年、スマートフォン(スマホ)を持つ人が増え、それとともにスマホで遊ぶ 「ソーシャルゲーム」(SNS上で提供されるオンラインゲーム) が流行るようになりました。

しかし、このソシャゲの課金で借金を作ってしまい、困っている人も急劇に増えています。

このページでは未成年が勝手にしてしまった、スマホゲームの課金による借金に困っている親御様に向け、とれる方法を解説していきます。

なお、未成年者のソシャゲ課金によって、クレジットカード料金の請求ではなくて携帯料金自体の請求にお困りの方は別コンテンツ【「ソシャゲ課金で携帯料金が払えない!」債務整理できるか?】をご覧ください。

子が勝手に利用したスマホゲームの課金は、親が支払う義務を負うか?

(1)親名義のカードを無断使用して課金した場合

原則: 親権者の同意がないのに未成年がした行為は取り消せる

一般論として、親権者の同意がないのに未成年がした行為は取り消せることが法律に定められています。

しかし、取消しの主張が通るかどうかはケースバイケース

ゲームの運営会社が取り消しの主張に応じ、任意に代金の返還に応じてくれた事例もあるようです。

しかし、交渉を始めてから解決まで時間がかかるケースも少なくなく、ゲーム運営会社が海外の会社である場合、絶対に交渉に応じないと宣言している会社すら存在します。

また、ご自身で交渉なさっていた方に中には、交渉中の発言を切り取られ、支払いを約束したことになってしまい、証拠まで作成されてしまったケースもあるようです。

この交渉は弁護士に依頼される、若しくはご自身で交渉されるとしても弁護士に相談したうえで行った方が安全です。

(2)未成年の子ども本人名義のカードで課金した場合

他方、未成年の子どものカードで課金をした場合、問題は別にあります。

親に黙って勝手に作ったクレジットカードの場合

まず、18歳であっても親の同意がなければクレジットカードは作れませんが、親が同意していないにもかかわらず、子どもがカードを作っていることもあります。

その場合には、まず、親の同意なく、カードを作っていることをカード会社に告げて未成年の子どもの行為を取り消すことになります。

さらに、そのカードを使って課金してしまっている場合には、その課金行為も取り消す必要があります。

課金行為の取消しの主張が通るかどうかはケースバイケース

基本的には、親の同意なく子どもが行った課金行為は取り消すことができます。

しかし、業者が応じてくれるとは限らない主張ですし、最終的には裁判所で取消しが認められない例もあります。裁判所が取消しを認めない場合は、クレジットカード会社から請求されている額を支払うか検討するほかありません。

どうしても払うことが難しいのであれば、債務整理による解決が考えられます。

なお、そもそも親が課金について同意していた場合には取り消せません。

課金トラブルは、弁護士が間に入るとどういう解決が可能か?

借金問題については債務整理と言われる方法で解決します。

債務整理の手続きには大まかに3種類あります。

①自己破産、②個人再生、③任意整理について順にご説明致します。

(1)自己破産

自己破産は、借金の支払いができない場合に、あなたの財産をお金に換えて借金をしている業者などに対し債権者配当する手続です。

この手続の中で裁判所が「免責」を許可する決定を出すと、あなたが抱えている債務について支払う必要がなくなります(ただ、税金など一部法律上残る債務があるかもしれません)。

「浪費又は賭博その他射幸行為」は免責不許可事由

しかし、免責を認めない場合が法律上「免責不許可事由」として定められています(破産法252条1項各号)。

特に、ソシャゲ課金で背負ってしまった借金については、破産法252条1項4号の「浪費又は賭博その他射幸行為」でできた借金として免責不許可事由に当たる可能性があります。

裁量免責

「浪費又は賭博その他射幸行為」 に当たるからと言って、必ずしもソシャゲ課金でできた借金について自己破産で解決できないわけではありません。

破産法1条によると破産制度の目的は、借金で困っている人の経済生活の再建です。

浪費や賭博で借金を作った人も経済生活再建の方法が用意されているのです。

それが裁量免責です(破産法252条2項)。

これは、今まで借金を作った経緯や今後に向けた反省・取り組みを見て、裁判所が特別に免責を認める制度です。

(2)個人再生と任意整理

自己破産と違って免責不許可事由がない手続き

個人再生と任意整理とでは、裁判所での手続であるかどうかなど違いはあるものの、自己破産との最大の違いは、免責不許可事由がないことです。

したがって、ソシャゲ課金でできたものでなくとも、借金の原因が何であろうと個人再生や任意整理はできる点に大きな利点があります。

個人再生(民事再生)

個人再生とは、民事再生法に基づく個人の民事再生手続で、返済額を一定のルールに基づき圧縮した再生計画を立て、その計画通りに債権者に対して原則として3年以内に分割して返済を行い、残りを免責することによって経済的な更正を目指す制度です。

任意整理

任意整理とは、代理人として弁護士等を選任し債権者と個別に交渉し、債務や利息の減免、支払期限の猶予を実現し、返済条件を緩和する手続です。

課金トラブルに対しどの手続を利用したらいいか?

どの手続を利用するかは、その方の月々の収入、支出のみならず、年齢、職業、さらには今後に向けてどのようにソシャゲと向き合おうと考えているか、という点を考慮する必要があります。

ご自身お一人で考えてみて任意整理を希望される方もいますが、弁護士が計算したり聞き取りしたりすると自己破産以外の選択肢がないこともあります。

そのため、ぜひ一度、借金問題は弁護士にご相談ください。


債務整理は事務所選びが一番大切!