「持ち家を手放したくない!」住宅ローンが払えなくなって家の競売を避けるにはどうしたらいいか。
マイホームを購入する場合、銀行等の住宅ローンを利用する方がほとんどではないでしょうか。
住宅ローンのほかにもカードキャッシングやクレジットカードでの買い物などの借金があり、住宅ローンの支払に支障が出ているケースがあります。
住宅ローンは、購入した住宅に抵当権が設定されている場合がほとんどです。そのため、住宅ローンを滞納してしまうと、抵当権が実行されて自宅が競売にかけられることになりかねません。
また、競落された金額が住宅ローンの残額を下回った場合(いわゆるオーバーローン)は、その不足分の借金は自宅を失った後も請求されてしまいます。
このような結果を避けるにはどのような方法があるでしょうか。
方法1 銀行と個別に交渉する
ご自身で住宅ローン債権者である銀行と交渉し、金利を下げてもらったり、返済期間を延ばして毎月の返済額を少なくする方法が考えられます。
しかし、銀行もビジネスである以上、このような申入れに簡単に応じてくれることは考えられず、現実的な解決策とはいいがたいでしょう。
方法2 借り換えする
より金利の低い住宅ローンへの借り換えを検討する方もいると思います。
実際に融資に応じるかどうかは各銀行が個別に判断することですが、住宅ローン以外の借金が多い場合、審査を通過することは簡単ではないでしょう。また、仮に借り換えができても毎月の返済額が大幅に減少するとは限らず、再び行き詰まることが懸念されます。
方法3 弁護士に相談する
自宅を手放したくないなら、住宅ローンはそのまま支払わなければなりません。
継続的な収入があり、ほかの借金が整理できれば住宅ローンは返済できるという方は、住宅資金特別条項を利用した個人再生や、任意整理による解決が考えられます。
(1)住宅資金特別条項を使った個人再生
個人再生は、民事再生法に基づく手続で、法律の規定に従い債務を圧縮したうえで、その残額を原則として3年以内に分割払いする手続きです。
そして、自宅の建築や購入資金等、一定の条件を充たす住宅ローンはそのまま(又は一部をリスケジュールして)支払いを続け、自宅を残しながら個人再生を利用することが認められています(民事再生法 第十章 住宅資金貸付債権に関する特則(196条~206条))。
(2)任意整理
任意整理は、裁判所を利用せず、弁護士が個別に貸金業者と交渉し、利息の減免や返済期間の伸長などに応じてもらう手続です。
破産や個人再生と異なり、手続の対象にする債権を選択できることが特徴ですが、法律によって自動的に借金を減額できるわけではなく、債権者と個別に合意を成立させる必要があります。
個人再生と任意整理、どちらにメリットがあるのか
個人再生は、任意整理と比べて手続が複雑であり費用も高くなりますが、住宅ローン以外の借金の大幅な減額が期待できるというメリットがあります。
住宅ローン以外の借金の合計が200~300万円を超える場合は、弁護士費用を考慮しても個人再生を選択した方がメリットが大きくなる場合が多いようです。
もっとも、債務者に多額の資産がある場合は一定額以上の返済を必要とするルールがあり(清算価値保障原則といいます。)、個人再生を選択しても返済額の大幅な圧縮ができないこともあります。
弁護士による専門的な判断が重要
購入したマンションが値上がりして多額の含み益が生じていたり、勤務先の退職金(8分の1が財産と評価されます)が高額な場合は、個人再生を選択しても返済額が期待したほど減額できないことがあります。
また、住宅資金特別条項が適用できるかどうかも正確に見極めなければなりません。
さらに、貸金業者だけではなく、親せきや友人からも借入があり、迷惑をかけたくないという場合は、任意整理を選択せざるをえないケースもあります。
どちらを選択するべきかは、個別の事情に応じて専門的に判断しなければなりません。 住宅ローンの滞納が長期に及ぶ前に、お気軽に法律事務所までご相談ください。