債務整理に回数制限はあるか?

過去に債務整理をして生活再建を図りましたが、
また借金を膨らませてしまいました。ピンチです・・・
なんとかなりませんか?

2回目の債務整理

以前、弁護士や司法書士に相談して債務整理をしたことがあるのに、再び借金が膨らみ返済が難しくなってしまった。このような場合、2回目の債務整理をすることはできるのでしょうか。

債務整理には、裁判所に申し立てて行う自己破産や個人再生のほかに、裁判所を介さず代理人弁護士が貸金業者等と個別に合意を成立させ債務の完済を図る手続き(「任意整理」といいます)があります。順を追って説明します。

自己破産をお考えの方へ

過去の債務整理が、免責不許可事由に該当する可能性がある

以前、自己破産や個人再生をしたことがある人が、再び自己破産をする場合はどうでしょうか。

個人である債務者の場合、破産手続開始の申立と同時に免責許可の申立(破産法248条)を行うことが一般的です。

免責は破産者の経済的更正のための制度であり、破産者が破産法252条1項各号の免責不許可事由に該当しない場合、裁判所は免責許可の決定をします。

そして、同法1項10号では、破産者がすでに自己破産における免責許可決定が確定していたり、個人再生における給与所得者等再生(民事再生法239条)を行い再生計画を遂行した場合、各所定の日から7年以内の免責許可の申立を免責不許可事由と定めています。

つまり、すでに自己破産や給与所得者等再生を利用したことがあり、その時に免責許可決定などが確定したときから7年以内にもう一回自己破産の申立てをしても、今度は免責が許可されない可能性があるのです(※なお、個人再生のうち小規模個人再生にはこのような規定はありません。)。

もっとも、上記のような免責不許可事由に形式的に該当する場合でも、裁判所は、それまでの経緯等の一切の事情を考慮して免責を許可することができます(破産法252条2項、裁量免責といいます。)。

したがって、「破産してから〇年以内に借金しても破産できない」という類の巷の情報は、法的には正しくありません。

必ず弁護士に相談して確認することをおすすめします。

任意整理をお考えの方へ 

任意整理に回数の制限はない

任意整理は、代理人弁護士を通じて貸金業者と個別に合意(和解)して、すでに発生している遅延損害金の減免や将来的な利息のカット、支払期間の延長などを実現する手続です。

法律上、「〇回以上任意整理をしてはいけない」とか、「〇年以内に再び任意整理をすることはできない」等の規制があるわけではありません。

したがって、債権者である貸金業者が応じてくれさえするならば、以前に自己破産や個人再生、任意整理をしたことがある人であっても、あらためて任意整理を行うことが可能です。

では「実際に」何度でもできるのか

たとえば、以前にある貸金業者との間で将来的な利息をカットして元金のみを分割払いする合意を成立させたにもかかわらず、その返済を途中でやめて放置してしまったというケースを想定します。

この場合、再び同じ貸金業者に対して遅延損害金の免除や再度の分割払いを申し入れても、交渉は難航するでしょう。

また、多額の借入を行った直後に弁護士に依頼して支払を停止し任意整理を申し入れるようなケースでも、貸金業者は簡単には和解に応じないでしょう。

結局、和解を成立せさるためには貸金業者との間で信頼関係が必要であり、それを損なうような事情がある場合は、2回目以降の任意整理は難しくなってしまいます。

2回目以降の任意整理を成功させるポイント

病気による退職や勤務先の倒産、子供の誕生、親族の介護など、収入の減少や支出の増加の原因となる具体的な事実に基づき、毎月の返済可能額を計算して提案することが重要です。

そのため、毎月の家計の収支一覧表を作成することも有意義です。

2回目以降の債務整理をお考えの方は、お気軽に法律事務所までご相談ください。

債務整理は事務所選びが一番大切!