自己破産の手続きが完了するまでの日数はどれくらいか

カードローンなどの借金の返済が難しく、自己破産を考えている方の中には、破産までどれくらい時間がかかるのか気になっている方も多いかと思います。

ここでは、個人の方が弁護士に自己破産を依頼してから、破産の手続きが全部終わるまで、一般的にどれくらい時間がかかるのかをご説明します。

申立てまで最低でも3か月は必要、その後は本人の頑張りしだい

自己破産は、裁判所に申立てを行うところから始まります。

自己破産の申立ては書面で行う必要があり(破産法20条1項)、申立書以外にも債権者一覧表や申立書の添付書類(住民票の写しなど)を提出しなければなりません(破産法20条2項、破産規則14条、15条)。

具体的にどこまでの書類を求められるかは、申立てを行う裁判所によって細かい違いがあります。たとえば、破産規則14条では申立前の1ヶ月間の債務者の収支状況を記載した書面を提出しなければならないとされています(同3項5号イ)が、東京地方裁判所の場合は、これを申立前の2か月分作成して提出しなければなりません(令和2年2月現在の情報です。)。

もっとも、いきなり完璧な家計状況の一覧を作成できる人はまずいません。毎月の支出をきちんと管理して、弁護士(又はその事務職員)に書き方を教わりながら、試行錯誤して作り上げていく方がほとんどです。そのため、提出できる家計状況の一覧が出来上がるには、どんなに早い人でも2~3か月は要すると考えていいでしょう。

また、弁護士に依頼した場合の弁護士費用や、申立てに必要な予納金を準備する必要があります。

親族等の援助で一括して用意できる人もまれにいますが、大半の方は、分割してお支払いいただいています。

特段の事情がない限り、弁護士費用の分割払いが完了してから申立を行います。そのため、分割払いの回数によって申立てまでの期間は変わってきます。

書類の作成が非常に速やかで、かつ、弁護士費用等の分割回数も少ない方であれば、弁護士に依頼してから数か月程度で申立てができます。

一方、なかなか書類を準備しなかったり、中には弁護士としばらく連絡がつかなくなってしまう方もいます。このような方の場合、依頼を受けてから1年が経過しても申立ての準備ができず、その結果、弁護士との信頼関係が揺らいでしまうこともあります。

依頼するご自身の頑張り次第で、申立てまでの時間は早めることができます。積極的に弁護士に相談して、書類の準備を進めていただくことを強くお勧めします。

申立後の進み方

―同時廃止と管財事件でスケジュールは異なる―

自己破産には、破産管財人が選任される「管財事件」という手続きと、破産管財人が選任されず破産手続が開始決定と同時に廃止される「同時廃止」という手続きがあります。

手続によって、終結までに要する時間が異なります。

(管財事件と同時廃止の違いについては自己破産の説明をお読みください。)

(1)同時廃止の場合

東京地方裁判所では、即日面接という制度が採用されており、代理人弁護士が決められた時間に申立書類を持参して即日面接を希望すれば、その日のうちに弁護士と裁判官との面接が行われます。この即日面接には破産者本人は出頭しません。

面接の結果、同時廃止に振り分けられた場合、特段の問題がなければ、同日の夕方5時に破産手続開始決定がなされます。

他の裁判所の場合は、申立てから開始決定までに数日から数週間ほどの時間を要することが多いようです。

同時廃止の場合、破産管財人は選任されず、破産手続が開始と同時に廃止され、免責審尋期日が指定されます。東京地方裁判所の場合、前記の即日面接の際に期日が指定されるのが一般的です。おおむね、即日面接の期日から2か月ほど先の平日に指定されます。

(2)管財事件の場合―債権者集会の回数しだいで異なる―

東京地方裁判所の場合、前記の即日面接の結果いわゆる「少額管財」に振り分けられた場合、原則として、その日のうちに破産管財人の候補者が選任されます(この段階ではまだ候補者です。)。

その後、なるべく速やかに、ご依頼者本人と代理人弁護士、破産管財人候補者の三名で打ち合わせを行います。破産手続開始決定は、通常、即日面接を行った翌週水曜日の午後5時に行われますが、破産管財人候補者との打ち合わせは、原則としてそれまでに行う必要があります。

破産手続開始決定後、破産管財人は実際に管財業務を開始します。特に重要なのは、債権者の配当に充てるべき財産の確保・換価・回収です。

その後、個人の自己破産の場合、通常は破産手続の開始決定から2か月後に1回目の債権者集会が開催されます。

債権者集会は、特にめぼしい財産がなく配当がない場合は1回で終わりますが、配当できる見込みがあり回収に時間を要する場合などは複数回実施されます。

したがって、債権者の配当に充てるべき財産の有無や回収状況によって、債権者集会の回数が増え、手続きに要する時間も数か月延びることがあるといえます(なお、上記のタイムスケジュールは東京地方裁判所本庁における執筆時点での運用をもとにしており、必ずこのように進むというわけではないことに留意してください。)。

弁護士に依頼してスムーズな進行を

申立に必要な書類は多岐にわたるため、すべてを自分で用意するのは大変な作業です。

弁護士によるアドバイスを受けながら準備を進めたほうがスムーズに申立てができると思います。

また、弁護士が申立代理人となっていない自己破産は原則として管財事件に振り分けられますが、破産管財人との打ち合わせや調査への対応もすべてご自分ひとりで行わなければなりません。

自己破産の申立代理を弁護士に依頼すると、申立の準備からから破産手続開始後の対応、免責許可決定後の債権者への連絡まで、一貫して代理人弁護士によるサポートを受けることができ、スムーズに手続きを進めることができます。

自己破産をお考えの方は、法律事務所までお気軽にご相談ください。

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