自己破産した場合の資格制限

自己破産の申立てを裁判所に行うと、破産手続開始決定から免責許可決定が確定するまでの間、一定の資格や職業に就くことができないことがあります。

免責許可決定確定までの間就くことが出来ない職業

制限を受ける主な資格

弁護士、司法書士、公認会計士、税理士などの法律や会計系の国家資格のほか、主に以下の資格制限があります。

※破産によって制限される主な資格を列挙致します。

  • 廃棄物処理業者
  • 風俗営業の営業所管理者
  • 生命保険募集人
  • 証券取引外務員
  • 警備業者、警備員
  • 建築設備検査員、一般建設業、特定建設業
  • 宅地建物取引士
  • 不動産鑑定士
  • 管理業務主任者
  • 質屋
  • 旅行業者、旅行業務取扱主任者
  • インターネット異性紹介事業者

制限を受ける法律上の地位

成年後見人や遺言執行者などの法律上の地位に就くこともできません(民法847条、1009条)。

これらの資格制限は、破産法にまとめて記載されているのではなく、警備業法や建設業法などの個別の法律によって規定されています。

尚、上に挙げたものが破産によって制限される全ての資格というわけではありません(主なものを列挙しました)。ご自身の資格や職業が制限を受けるかどうか気になる方は、個別にご説明しますので、お気軽にご相談ください。

永遠に制限されるわけではない

資格制限の対象者

資格制限の対象者は 「破産者で復権を得ない者」又は「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」と定められています。

「復権」とは、破産者が受ける法律上の制限がなくなることです。自己破産の手続きが無事に終わり、免責許可の決定が確定したときは「復権」が認められます(破産法255条1項1号)。

したがって、資格が制限されるのは、裁判所で破産手続開始の決定を受けて、まだ免責許可決定が確定していない状態の人に限られます。

東京地方裁判所の場合、破産手続開始決定から免責許可決定の確定まで、早ければ3か月程度です。破産管財人が選任された場合は事案によって異なりますが、個人の自己破産の場合、通常は数か月程度で免責に至ります。

このように、資格制限があるのは数か月程度の間にすぎませんし、すでに自己破産の手続きが終わっている人は資格が制限されません。自己破産したら永遠に資格が制限されるというわけではないのです。

勤務先との雇用契約上の問題はある

実際に勤務する会社との間では、資格制限とは別に、雇用契約上の問題が生じることがあります。

雇用契約書や就業規則において、破産手続開始決定を受けたら会社に報告するよう定められている場合

自己破産したことを隠したまま仕事を続けると就業規則違反になり処分を受ける可能性はあります

たとえば、生命保険募集人の資格を有して生命保険会社で営業の仕事をしている人が自己破産するとします。

細かい説明は省略しますが、この人が破産手続開始決定を受けても、自動的に保険募集人の資格を失うわけではありません。したがって、そのまま保険営業の仕事を続けても、無資格で営業したことにはなりません。

しかし、勤務先である保険会社の雇用契約書や就業規則において、破産手続開始決定を受けたら会社に報告するよう定められている場合があります。

この場合、自己破産したことを隠したまま仕事を続けると就業規則違反になり処分を受ける可能性はあります。

心配であれば、勤務先の就業規則などを弁護士に見せて相談するべきでしょう。

場合によっては、事前に勤務先に配置転換などの配慮をしてもらう必要があるかもしれません。

資格が必要な仕事についている人であっても、仕事をつづけながら自己破産をすることができる場合も少なくありません。 自己破産をお考えの方は、お気軽に法律事務所までご相談ください。

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