一括請求されている方へ
カードローンなどの借金を返済できずしばらく滞納していると、貸金業者や債権回収会社から、借金の残元金に利息や遅延損害金その他諸費用を全部合わせた金額を一括して請求されることがあります(※以下、このような請求を「一括請求」と呼んで説明します)。
なぜ「一括請求」されるのか
カードキャッシングやクレジットカードを使ったリボ払いによるショッピング取引は、本来、利用限度額の範囲内で繰り返し利用することができ、返済は毎月一定額でよいことになっています。
このような取引では、利用残高の一部についてカード会社から返済が猶予されているのです。
この、債務の返済が猶予されていることを、債務者から見て「期限の利益」といいます。
しかし、これらのカード取引には、「期限の利益喪失」についての特約が付されているのが通常です(契約書やパンフレットをよく見ると書いてあります)。
一般的には、契約で定めた返済期限に遅れたら、それまでの借入残高及びその日までの未払利息、遅延損害金、その他回収に要した諸費用を一括して貸金業者に返済しなければならないと規定されています。
簡単に言うと、もはや「分割払いによる返済の猶予は認めない」という意味です。
このように、一括請求は法的に根拠のある請求です。
一括請求されたら払わなければならないのか
一括請求されたらその通りに支払わなければならないのでしょうか?
(やばいやばいどうしよう・・・)
安易に返済に応じる前に、弁護士に相談されることを強くおすすめします。
一括請求を、弁護士に相談することを推奨する理由
「過払い金」という言葉を聞いたことがある方は、いまや非常に多くいらっしゃるかと思います。
かつて、消費者金融やクレジット会社のカードキャッシングにおいて適用される利率が法律上の制限を超過していたことがありました。
その後、金利自体は引き下げられたものの、それまでに「利息」として貸金業者が余計とったお金に関しては見直しされず、誤った残高を引き継いでそのまま取引が継続している場合があります。
このような取引を過去にさかのぼって見直すと、実はもっと早く返済が進んでおり、借金が貸金業者の請求額よりも少なかったり、むしろある時点で借金は完済できておりそれ以降は必要がないのに余計にお金を払ってしまっていた(いわゆる「過払い金」が発生している)というケースもあります。
貸金業者が一括請求する金額は、あくまで貸金業者に都合の良い計算に基づく金額に過ぎず、それが法的に正しい金額がどうかは全く別のはなしです。
安易に返済に応じる前に、弁護士に相談されることを強くおすすめします。
払い過ぎがなくとも債務整理による解決はできる
(1)長期延滞なら時効の可能性
上記のような払い過ぎが全くない、あるいは払い過ぎを見直しても借金が残る場合、期限の利益を喪失しているならば、その借金残高とそれに応じた利息、遅延損害金等を一括して返済する法的な義務があります。
もっとも、滞納が数年間に及んでいるような状況では、借金の消滅時効を主張できる場合もしばしばあります。時効の成否についてはさまざまな要因が関係します。
払ってしまう前に、やはり弁護士にご相談ください。
(2)分割なら払えるという方なら任意整理も
時効が成立しない場合であっても、継続的な収入があって「分割なら完済できる」という方であれば、任意整理による解決も可能です。
一括請求できるといっても、まとまった財産が見当たらなければ、回収は難しいのが実情です。そこで、完済に向けて具体的な返済の提案ができるならば、 貸金業者も再び分割払いに応じてくれることが多いです。
(3)分割でも厳しいなら自己破産
債務総額が非常に多い、また今は継続的な収入がなく返済のめどが立たないという方もいらっしゃると思います。
また、ごく一部の強硬な債権者で、一切譲歩せず請求通り一括の返済でなければ受け付けないという姿勢を貫く会社もないわけではありません。
このようなケースでは、持ち家の有無等の財産状況にもよりますが、自己破産を選択した方が合理的という場合も珍しくありません。
督促状を持って弁護士に相談
一括返済を求める書面には、もともとの返済期限や過去の法的手続の有無等、弁護士が解決策を考えるうえで重要な情報が隠されていることがよくあります。
書類がなくてもご相談はできますが、もしお持ちなら、捨てずに弁護士にお見せください。
貸金業者から一括請求されている方は、お早めに法律事務所までご相談ください。