クレジットカードの現金化をしてしまった場合、個人再生ではどういう影響があるのか?

クレジットカードの現金化に手を染めてしまった場合でも、個人再生できるか?

クレジットカードの現金化とは

クレジットカードの現金化とは、クレジットカードを利用して購入した商品を換金したり、クレジットカードである商品を買ったこととして購入代金の何割かを業者から受け取ったりする行為のことです。

個人再生とはどういう手続きか?

個人再生とは、裁判所を通じた再建型倒産手続の一つであり、個人の債務者を対象とするものです。

個人再生は、債務者が裁判所に対し再生手続開始申立てをし、債務者が作成した再生計画案が認可され確定すると、再生計画に従い債権が減免されるなどされることになります。

個人再生には、①小規模個人再生と②給与所得者再生とがあります。

①小規模個人再生

小規模個人再生の場合、再生計画案は債権者の書面決議に付され、再生計画案に同意しない旨を書面で回答した議決権者(債権者)が議決権者総数の半数に満たず、かつ、不同意者の議決権の額(債権額)が議決権者の議決権の総額(債権総額)の2分の1を超えないときは可決したものとみなされます。

書面決議が否決されると、再生計画は認可されません。

②給与所得者再生

給与所得者等再生は、小規模個人再生の債務者のうち、「給与又はこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれる」場合に利用できる手続です。

他方給与所得者再生においては、債権者による書面決議はありません。

クレジットカードの現金化は禁止行為

クレジットカードの現金化とは、端的にいうと、クレジットカードのショッピングの利用枠を利用し現金を取得することをいいます。

具体的には、

①買取方式

クレジット現金化業者から、高価商品をクレジットカードで購入し、その商品を当該業者に手数料を差し引いた金額で買い取ってもらう方法(買取方式)

②キャッシュバック方式

クレジット現金化業者からほとんど価値のない商品をクレジットカードを利用し購入し、その金額から手数料を差し引いた金額の返還を受ける方法(キャッシュバック方式)

③買戻方式

クレジット現金化業者から買戻し特約付きで商品をクレジットカードを利用し購入し、買戻しの実行を受け手数料を差し引いた金額の返還を受ける方法(買戻方式)

④クレジットカードを利用して現行の紙幣や貨幣を購入する方法

などがあります。

クレジットカード会社の規約においては、換金目的でのクレジットカードの利用は禁止されており、上記のいずれの態様での現金化でもクレジットカードの利用停止措置の対象となる可能性があります

なぜクレジットカードの現金化に手を染める人がいるのか?

クレジットカード会社との契約においては、①カードを提示して商品を購入するサービス(ショッピング)と、②現金の借入限度額を設定しその枠内で自由に現金を借入ができるサービス(キャッシング)があります。

ショッピングで利用できる限度額(ショッピング枠)とキャッシングで利用できる限度額(キャッシング枠)は別個に設定されており、審査も個別に行われます。結果として、クレジットカード会社との契約において、ショッピング枠は100万円で通ったけど、キャッシング枠は通らなかったということが起こり得ます。

以上のような状況がありますので、現金の借入が受けられない人が、借入ができないので「ショッピング枠を利用して現金を取得したい」と考えるケースが発生します(クレジットカードの現金化)。

クレジットカードの現金化をしても個人再生できるのか?

クレジットカードの現金化で利用したクレジットカード会社があっても個人再生はできるか?

前述の通り、小規模個人再生においては、再生計画案の書面決議において、①債権者の半数以上が反対する旨の回答があった場合、または、②債権総額の半分以上の債権を有する債権者から反対する旨の回答があった場合には、再生計画案は否決され、再生計画は認可されません。なお、反対する債権者が複数の場合は、反対した債権者の債権の合計額が半分以上であれば再生計画案は否決されます。

クレジットカード現金化があった場合、現金化に利用したクレジット会社から再生計画案に反対されてしまうのかどうかがポイントとなります。
(1)再生計画案に反対することを決めている業者があります

クレジットカードの現金化の有無にかかわらず、再生計画案の決議に反対することを決めている業者が一部にあります。

また、業者の中には、当該業者の反対だけで再生計画案の決議を否決できる場合には、再生計画案に反対することを決めている業者があります。

上記のような業者は、会社の方針として、再生計画に反対することを決めています。

債権者の中にこのような業者が存在する場合は、再生計画が可決される見込みがあるのか慎重に検討する必要があります。

(2)(1)以外の業者でも再生計画に反対することがあります

クレジットカード会社は、クレジットカードの不正利用がある場合には再生計画案に反対することを検討するものと考えられます。

クレジットカードの現金化が認められる場合には、再生手続開始申立ての前に、債権者に再生計画案に反対する意向があるかどうかをあらかじめ確認し、再生計画案が可決する見込みがあるのか慎重に検討する必要があります。

再生計画案が否決される見込みの場合、どうすればよいのか?

(1)給与所得者再生を選択する

再生計画案が否決される見込みの場合、給与所得者再生の申立てをすることが考えられます。

給与所得者再生の場合、再生計画案の債権者による書面決議は不要です。

ただし、再生計画による弁済額が可処分所得の2年分を下回ることができないとされるため、小規模個人再生よりも返済する額が増えてしまう可能性があります。

(2)破産を選択する

再生計画案が否決される見込みであり、給与所得者再生も使えない場合には、自己破産を選択するほかありません。

選択肢としては任意整理の方法もありますが、個人再生を申し立てようとする債務者は支払不能状態であることが多く、任意整理が不可能である場合が少なくありません。

自分で判断するのは難しい。必ず弁護士に相談を。

以上において、クレジットカードの現金化をした場合に個人再生ができるかについて解説しました。

クレジットカードの現金化したからといって、直ちに個人再生ができなくなるわけではありませんが、個人再生ができるかどうかについては、様々な事情を考慮する必要がありますので、弁護士とよく相談する必要があります。法律事務所にお気軽にご相談ください。

債務整理は事務所選びが一番大切!