「奨学金が返せない!」奨学金は債務整理できるか?
奨学金が返済できない
近年、独立行政法人日本学生支援機構からの奨学金や銀行等の教育ローンによる借入(便宜上「奨学金等」と表現します)で進学したものの、卒業後に十分な収入が得られず返済が難しいというご相談があります。
奨学金等は、いわゆるカードローンよりも金利は低いことが一般的ですが、借入額が数百万円に及ぶことがあるため、毎月の返済は決して楽ではありません。
特に、就職難等で返済が困難なケースの場合、生活費の不足を補うためにカードローンやクレジットカードによるショッピングを利用せざるを得ず、さらに債務が増大していくことが多いように見受けられます。
奨学金や教育ローンの返済を滞納するとどうなる?
奨学金等を滞納すると、郵便による督促にとどまらず、裁判で一括請求されることもあるようです。放置せず、弁護士に相談することをお勧めします。
奨学金の返済猶予はあるか
独立行政法人日本学生支援機構では、返済が困難になった人に向けて、減額や返還期限猶予の制度を設けています(制度の詳細は、直接、日本学生支援機構にお問い合わせください)。
しかし、返還の免除はごく限られた場合にしか認められないため、単に収入が少ない等の事情の場合、根本的な解決にはなりません。完済に向けて返済していく見通しが立たないならば、やはり弁護士にご相談ください。
奨学金は債務整理できるか
奨学金等も他の借金と同じく、債務整理によって解決することが可能です。
奨学金を債務整理する方法
債務整理には、自己破産、個人再生、任意整理などがあります。
このうち自己破産と個人再生は、裁判所を通じて行う手続であり、すべての債務を手続の対象としなくてはなりません。
一方、任意整理は、代理人弁護士が裁判所を介さずに個別に債権者と交渉して、遅延損害金の減免や将来的な利息のカット等、返済条件を緩和する合意を結んで完済を図る手続です。自己破産や個人再生と異なり、整理の対象を選択できることが特徴です。
このうち、どの手続を選択するべきかは、奨学金等を含むすべての債務総額や金利、現在の資産・収入、弁護士費用等を考慮して弁護士が見通しやメリット・デメリットをご説明したうえで、最終的にご自身で判断していただくことになります。
連帯保証人に迷惑をかけないためには
日本学生支援機構の奨学金では、原則として父母を連帯保証人とすることが必要です。
また、他の銀行等の教育ローンも、親族等との間で連帯保証契約を結んでいることがあります。
前述のとおり、自己破産や個人再生はすべての債務を手続の対象としなくてはなりません。したがって、自己破産・個人再生を選択した場合、奨学金等の支払も停止します。そうすると、日本学生支援機構は、債権回収を委託した債権回収会社を通じて、連帯保証人である父母に返還を請求することになります。
どうしても連帯保証人に迷惑をかけたくないならば、自己破産や個人再生ではなく任意整理を選択し、奨学金だけは自分で契約通り返済しながら、ほかのカードローン等の借金だけを整理の対象とすることになるでしょう。
奨学金が返せなくてお困りの方は、法律事務所までご相談ください。