「ソシャゲ課金で携帯料金が払えない!」債務整理できるか?
子供が勝手にソシャゲに課金していて、突然高額な請求書がきました。こんな金額とてもじゃないけど払いきれません。
はじめに
子どもがスマホで遊ぶ「ソーシャルゲーム」(SNS上で提供されるオンラインゲーム)に課金してしまい、 支払えなくなるほど携帯電話料金が高額になる方がいます。
しかし、払えないからといって放置してはいけません。
放置していると生活への様々な支障が出てしまいます。
携帯電話料金を支払わないとどうなるか、そして払えない場合どうすればいいか説明します。
なお、未成年のソシャゲ課金によって(携帯電話料金ではなく)クレジットカード料金が払えない方については別コンテンツをご用意しております。【「ソシャゲ課金のクレジットカード料金が払えない!」我が子が勝手に利用したスマホゲームの課金は、親が支払うしかないのか? 】をご覧ください。
携帯料金を放置するとどうなるか?
直ちに回線が停止するわけではない
携帯電話料金の支払い日を過ぎても払っていない場合、すぐに携帯電話が止まるわけではありません。
未払い料金を請求する通知が届く
通常は、携帯電話の回線利用を停止する前に、督促状など未払いの料金を請求するメールや郵便物が送られてきます。
再振替(自動再引き落とし)される
口座引き落としであれば、再度の引き落としの日が設定されているはずです。
その日までに引き落とし口座に請求された金額を入れておくだけで支払いは完了します。
未払い料金を請求する通知に振込伝票が同封されてくる
郵送で督促状が届いた場合は、通常、同封されている払込票を使って支払う方法が多いようです。
遅延損害金が増え続ける
携帯電話会社から届くメールや郵便物を無視してしまうといよいよ携帯電話が止められたり、裁判を起こされてしまったりする可能性があります。
ここで、覚えておいていただきたいのは、あなたが料金を支払わない間、遅延損害金が増え続けることです。
遅延損害金は決して安くありません。
この遅延損害金分も合わせて請求され、請求が認められてしまうと、財産や給料が差し押さえられてしまうかもしれません。
親が同意していない未成年の課金は取り消し可能な場合もある
(1)原則として取消し可能
法律上、未成年者は親の同意なく、行った法律行為を親権者が取り消すことができます(民法5条2項)。
そのため、親権者の同意がない未成年者のソシャゲへの課金行為も、親権者が取り消すことができます。
(2)例外的に取消しができない場合がある
この親による取消権は、例外がいくつかあります。
年齢認証を突破した場合は、課金行為を取り消すことができるか?
未成年者が詐術を用いてした行為は取り消すことができない?
特にスマホの課金の場面で重要なのは、子どもが詐術を用いた場合です。
民法21条は、「制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない」としています。
未成年者が、自身が成年者であるとソシャゲ業者をだまして課金行為をする場合、親権者が課金行為を取り消すことができないことになりそうです。
そして、最近では、ソシャゲに課金をする際には年齢を確認する画面が表示されることが多いです。
取消の主張に対し、ソシャゲ業者は、次のような反論をすることがあります。
「未成年者による課金行為であっても、課金する前の年齢確認画面で成人であると回答した。これは未成年者が嘘をついたものだから詐術を用いたことになる。よって、今回の未成年者による課金行為の取消しはできない。」
この反論は認められにくいでしょう。
電子商取引準則によれば、単に「成年ですか」との問いに「はい」のボタンをクリックさせる場合や、利用規約の一部に「未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です」と記載してあるのみである場合は詐術に当たらないとされているのです。
未成年者の課金行為を取り消せるかどうかはケースバイケース
しかし、親権者が未成年者の課金行為を取り消せるかどうかという問題について、裁判所はケースバイケースの判断をしています。
もし、お子さんの課金行為を取り消せるかお悩みの場合は法律事務所までご相談ください。
(3)現実問題として…
ソシャゲ業者や携帯電話会社に子どもの課金行為を取消しすると連絡しても、それだけで解決しない場合も少なくないです。
裁判例を見ても、取消権の主張が毎回認められているわけではないことが大きな要因でしょう。
携帯電話会社やソシャゲ業者から見て、裁判にまでもつれても、お金を回収できる見込みがあるのであれば取消しに応じてくれません。
また、弁護士に依頼すれば、裁判官が分かりやすい(携帯電話会社が納得しやすい)形で取消しの主張をしてくれるでしょう。
しかし、通るかどうか分からない取消しの主張のために弁護士に依頼することは、気が引ける方も多いと思います。
このように、法理論上は請求に対抗する方法はあるのですが、すべての方に使えるかどうかは一概に言えません。
どうしても払えない場合は弁護士に相談!
取消しができない、携帯料金が支払えない人はどうすればいいのでしょうか。
携帯電話会社は支払いを待ってくれ、とお願いしたところで待ってくれません。
(1)お金を借りて支払う
多くの方がまず思い浮かべるのが、親せきや友人に借りることです。
中には消費者金融で借りたり、当面はクレジットカード払いにしたりすることを考える方もいるでしょう。
しかし、一時的に携帯料金を払えても、そのうち借りた金は返す必要があります。
返す時までに返すあてがあればよいですが、返すあてがなければ貸してもらうことも難しい
ただ、支払いができないことから借金するのは褒められた手段ではありません。
新たにできた借金を返せずに苦しみ続ける方も少なくないのです。
(2)弁護士に債務整理を依頼する
どうしても払えない場合は一度、弁護士までご相談ください。
債務整理という方法で問題解決までたどり着けるかもしれません。
債務整理とは、簡単に言うと、減額したり、支払いに猶予を持たせたりすることにより、借金で苦しい状況から救済するための手続のことです。
債務整理には「自己破産」、「個人再生」、「任意整理」の3つ方法があります。
自己破産
裁判所の手続きを通じて、借金全額の返済を免除してもらう手続きです(税金など自己破産しても免除されない物が一部あります) 。
個人再生
裁判所の手続きを通して、借金の元金を5分の1~10分の1程度に減額して、 3年~5年程度で完済する手続きです。
任意整理
弁護士が代理人となって債権者と交渉し、減額や金利の調整、支払い期間などの条件和解を締結し、無理なく返済をしていく方法です。
あなたが債務整理した場合に今後どうなるかは、携帯電話会社や契約内容次第で変わります。弁護士ご相談ください。
高額請求で困ったら、まずは弁護士に相談
多くの方にとって、携帯電話がないと仕事や友人関係で困る世の中になりました。
お悩みの場合には、ぜひ、法律事務所までご相談ください。債務整理を行うべきか、どういう方法がご自身にとって適切なのか、一緒に答えを探す手助けをさせていただければと思います。お気軽にお問い合わせください。